陶磁器と文鳥と作劇塾
作劇塾の塾生です。塾での日々、及びアンティークや陶磁器類、そして文鳥の雑文
お約束をどう使う?

定番というものは大人気。たとえ最新流行を身にまとったとしても、一部では取り入れるべきもの。

安心感、長い間愛されてきたもの、ゆるぎないものとか、不動の地位とか、そんな感じですねえ。

しかし、それで全身を固めて着こなしてしまうのは、上級者。

下手すりゃ「野暮」となります。安心感というものに寄り掛かってはいけません。冒険しないと、上級者の道は険しい!


……と、これはファッションのお話。


えー、作品ですね。


よく出来たものは「お約束」という話の定番を、うまく使いこなしていることに気が付く。

斬新だけど、よく読めば定番、もしくは黄金パターンですわ。

もしくは黄金パターンの中に「斬新」が潜んでいる。


そして『型』

いくつもの形がありますね、例えば探偵小説の主人公タイプ。推理能力に特化したあまり、社会的不適応者で家事無能とか、自信家のひねくれものとか。

私立探偵は、極端に禁欲的か女好きか、いやあああな過去があるか。


まあ、気弱で極端な神経質で、腕っぷしも弱い探偵は海外ドラマの「名探偵モンク」くらいしか思いつきません……あ、彼は不適応者型か。


作品を作る上で、その『お約束』『型』を使いこなす必要がある!

……と、つらつら考えている今日この頃。


ああああ、虚無的性格のイケメン人喰い男子高生と、客観性皆無のスリーサイズオール100ヒロインと、クソ真面目で文句たれの自治会長サラリーマンなんて、どこに型を探せばいいんだあああ!


悩んでます。






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凝りもせず、逃避準備

我が上司・主任は「ヘタレが出来る遭難など、たかがしれとる」と見抜いておられますが、作劇塾のインドア集団からは「いつかクマに遭遇」「いつか滑落」「いつかイノシシにはねられる」と予言を頂いています。

まあ、夏だしね……ちょっと山登りは控えておこうと、実は思っていたんですが。


金沢の在来線に揺られ、広がる田んぼを前にしながら、見てしまうのはその背後にそびえる山々。

図書館へ行き、遭難事故を調べて戦慄し、本屋では山登り雑誌に手を伸ばしていました。

ちっ、流石に雑誌の表紙モデルは楽しそうね。


笑顔で映る雑誌の写真のモデルに「呑気に山に登っているようですが、キミはカエルに遭遇した事があるのか、紫外線は怖くないのか、大腸菌うようよの川の流れに何を思うかね?」 などど、内心ぶうぶう文句をつける。


あ、やばい、これは禁断症状だわと気が付きました。

会ったこともない、善良な職業人・山と渓谷のモデルさんに理不尽な八つ当たりなんて、この人格者の私らしくもない!


まあ、そう言うわけで、精神衛生上の理由と、己の人格を高レベルに保つためにも、日曜日に登ることにしました。

ここまでくれば、いっそ作劇塾に山岳部でも作ろうかしら。

運動しなきゃとか言っている塾生の皆さんへ。

山登りは 究極の有酸素運動よ。一日や二日遭難したって死にはしないわ。


どうだい?

駄文更新:六甲山恐るべし

朝、少し涼しくなってきたことだし。

日曜日は、気温が少し低いし、曇りっぽいし。


さあ、己の歩む道を考えるためにも、体力づくりにも、会社の定期健診の言い逃れ(医師から生活の聞き取り調査があるんですわ)のためにも、日本アルプス逃亡まえの足慣らしのためにも、近所の山に逃亡よ!

ところで、山の日のニュースで驚いた。

六甲山って、今年に入って遭難者30人以上ですってね。

恐るべし、神戸市民の憩いの山!

……あそこ、登山口もコースも、子供から上級者まで、バリエーション多いからなあ。

結構、秘境っぽいところあるし、と遭難の思い出を振り返る私。


そういうわけで、次の遭難に備えて羽根田治さんの『ドキュメント・道迷い遭難』『山の遭難・あなたの山登りは大丈夫か』を読書中。


『恐怖』の楽しみ

会社に出勤。

カナザワ映画祭参加のため、1日有休をもらっておりました。そう言うわけで、お土産を配る。

キティちゃん北陸デザインチロルチョコです。

「こりゃありがとう」と、我が女性上司・主任。

カナザワ映画祭、テーマは『宇宙怪談』なんだそれはと出発前に口にしていた主任です。

まあ、怪談にも色々あるんですよ。MIBとかね。

怪談とは幽霊ばかりではありません。怪異ですからね。

日常という確かな土壌に、ぽっかりと開いた闇と落とし穴っていう奴でして。


「……んで、キミは金沢で独り宿泊して、幽霊にでも出会えたの?」

お盆だからねえと主任。

「死者が現世に里帰りの期間、海辺のホテルで独り宿泊……部屋に何かが出ても、おかしくない状況ではあるじゃん」

「ほほほ、抜かりはありませんよ、主任。ちゃんとベッドや机の下、冷蔵庫の裏までチェックし、お札が無い事を確かめました」

幽霊が出る客室の都市伝説ですね。

ちなみに、ベッドの敷布団の裏も見たわよ。

「しかも、私はウルトラスーパーデラックス・ミラクル霊感不能体質。去年のお化け屋敷のバイトで、見事それを証明しました。ばっちりですよ」

「……なんでそこまで怪談好きでありながら、本物を見たくは無いのかねえ」

首をかしげる主任。


そりゃそうだ、見たくないよ。

いいですか? 相手は死人ですよ? こっちの論理が通用しない、コミュニケーション不可能な相手で、別にこっちは何もしなくても、遭ったというだけで祟りとか呪いとか、遠回しなやり方で危害加えられそうだし、かといって実体無いから物理的喧嘩が出来ないし、しかも場合によっては、見るだけでも心臓に悪い。

しかも御祓いという騒ぎになったら、いくらお代がかかるやら。


しかし、怖い、という感情を疑似体験するのは、楽しいの。

よく出来た怪談とかホラーって、本能的な部分を冷えさせる感覚、当たり前の日常がまがい物に見える錯覚、己の世界に対する不信感という不安を引き起こすんですよ。

その『恐怖』を娯楽にする、この歪な楽しみよ。


「あのさー、それってこういう事かね、暖かな暖炉の前で、半袖でアイス食べてるとか」

「……」

「ガンガンに冷房を効かせた部屋で、ぶ厚い布団かぶって寝るとか」

「……」

何故か言い返せなかった。


主任へ。

もう少し、高尚な例えは出来ないものでしょうか?


カナザワ映画祭!

よく考えたら、生まれて初めて映画祭というものに参加したかもしらん……と思い返す私。

一つのテーマに沿った映画作品を連日上映、そしてゲストをお招きしてトークイベントというお祭りですが……おお、10月は京都でえろとリョウキをテーマに映画ですか……参加しましょう、変装して。


結局、観ることが出来たのは4本だけです。ほぼコンプリートしたSF担当兄弟子の得意げな顔が目の前にちらつきます。

そして映画の感想は……『やっぱり、濃いわ』

結末がシュールなモノから、バッドエンドまでありますが、流石はカナザワ映画祭出品作品。聞いたことないタイトルとか、普通の映画館では観られない作品ばかり。

その中で、流石はプレミアム上映!高橋洋監督作品『霊的ボリシェヴィキ』です。

高橋監督は、『女優霊』『リング』の脚本を担当された方です。

前衛的ホラーでして、どこにクトゥルー神話要素……と思ったんですが、異世界から何かを召喚するという世界観からでしょ、というお答えアリ。ああ、なるほど。


乾いた風景の工場のなかで、心霊実験を行う男女たち。

霊能者とその助手の前で、実験に選ばれた4人の男女は、一人一人『人の死に触れた』体験を話す。

死刑執行前の受刑者のこと、己の見た不吉な夢の内容が語られる中、ヒロインが語るのは、神隠しに遭った経験と、その後に起きた母の不可解な行動について。


観客は、その実験の目的は何かを探り、実験は成功するのか? その先はとドキドキしながら観るのですが……この前半部分『人の死に触れた被験者たちの話』が秀逸でして、実に良質な恐怖と怪談なのです。過去、何度か怪談会に参加した私ですが、これは怖い。

語り口が絶妙。


後半、最後の被験者が語る、人の死に関する己の所業。

そして話は一気に緊迫した空気に向かいます。実験が進むその先は?


結末は……いやん。そう来たか。

2018年公開です。もう一回見に行こうかなと、そう思った映画です。


ああ、それにしても、この張りつめた空気と、いつ切れるか分からないロープの上を歩かされている気分。この疑似体験をさせてこそ、ホラーの腕ね。

映像と文章は違いますが、この感覚をどうやって表すのか?

珍しく考えた私ですが……

「今書いている課題小説は、もう無理ね」


人間、切り替えが肝心。


そして映画祭の心残りは……黒木あるじさんにせっかくお会いしたというのに、言葉が出なかったこと。怪談本、結構な冊数読んでいるのに……あのビジュアル的な厭さ加減漂う怪談、好きなのに。

間違えて、黒史郎さんの本の話でもしてしまったらどうしようと恐怖するあまり……ああ、人にとって、失敗の恐怖は巨大な心理的エネミーね。

福澤徹三さんも好きなのに……怪を訊く日々から、短編集まで読んでいるのに……任飯シリーズをまだ途中で読み切っていないことが心理的ブレーキになってしまった……。


この失敗は次に生かそう……失敗を恐れてはならないと、金沢の帰り、駅弁二つ、チューハイなど腹に納めながら、反省しておりました。