陶磁器と文鳥と作劇塾
作劇塾の塾生です。塾での日々、及びアンティークや陶磁器類、そして文鳥の雑文
塾のそっち側
4月から提出開始の我が小説課題。

1ヵ月に2度ある合評のたびに、大幅書き直し、書き足しに修正を重ねて、約50頁まで提出しました。

しかし、実は未提出分ですが、すでに話は最終章まで書き進んでおり、3月に書き始めて7月には書き終える予定だったのです(ちょっとペースが遅れていますけど)
私の予定としては、さくさくさくさくと課題を提出し、9月頃には合評をすべて通過させた後で、さあどこかの出版社に応募するかと考えていたのですけど。

ですが、そうは甘くなかった。予定とは狂うためにある。

主人公の年齢設定を何故高校生にしたのか、いや、そもそも別にラノベ要素入れずに、もうホラーで良いじゃないの。
どこの重点を置くの? ホラー? ラノベ?

合評の際、そのやり取りの中で私はキッパリ言い切ってしまいました。
「この高校生3人組のキャラクターが書きたかったんです」

この塾に入る前から、独りで書いていた小説に使っていた愛着あるキャラクターなので、
一度は表に出してみたかったのです。

先生、少しお考えの後、一言。

「最初から書き直ししてみる? 書き直しした方が、文が良くなる事多いし 」

そして、書きなおしの際の課題は3つ

①ライトノベルズなら会話で読ませる ②ホラー要素をきっちり入れろ ③ラノベなら、少年少女の心理に特化

「あの~スプラッタ描写入れているんですけど、怖くありませんか? 」
「怖くないな」
……恐怖心麻痺している職業病じゃないですか? と突っ込んではいけません。

そして、書き直せとは……つまり、暗に先生、私の書く文体は、ライトノベルズではないと仰っているのか?
過去の私の小説は全然面白くもなかったという事実を、最近まで先生が隠されていたのを知って以来
(この話は「良い先生じゃん」と周囲にバカ受けした)どうも言葉の裏を考えてしまいます。

書き直しか……イチから書き直し……こりゃ、秋に投稿する予定は潰れたな。

さて、ラノベってどんな感じたったけ? それを思い出すために「フルメタル・パニック」再読中です。
そしてホラー感覚をもう一度呼び覚ますために選んだのは、クライヴ・バーカー。
こちらはスティーブン・キングよりもスプラッタ描写がキツイ。

机の上には、ピンク色の表紙のライトノベルズと黒い装丁の「血の本」シリーズがあふれています。

ジャンルのカオスだわ。
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もしかしたら無駄だった、夏の取材の思い出
タイトルに「怪談」が付いている以上は、怪談に関する思い出…と、いっても幽霊見た事ありません。
「見たいかもね」と思う事もあり、怪談好きで、怪談イベントにはしょっちゅう参加していますが、本気で実物見たけりゃ、富士の樹海にでも行ってキャンプ張ればよろしい。
そこまでする気が起きないので、口だけでしょう。我ながら。

さて、それでも13年、去年の夏、骨董に絡む実話怪談を書こうと考えた私。
題材が骨董品の理由は、この3つ。

◎骨董品と因縁、怪談の相性はかなり良さげ、の割にそのテーマを扱った本は見たことない。
 例:病院の怖い話という本ははあるが、骨董品の~は無い。

◎取材しやすい。骨董品屋と客の関係は、売り手と買い手でもあり、同好の士でもある。
 ゆえに店主と初対面でも結構気安く話が出来る。

◎突然、「怖い話ありますか?」は無理があるが、そこに行きつくまでの骨董に関するネタはあるのだ。
日本骨董なら、「うさぎの絵皿を探しているんです」西洋ならば「マイセンの人形の鑑定について」 と、
そこから話を膨らませる作戦。

そして骨董品屋が集中している大阪の老松町へ。日記を見れば8月の事です。
ちなみに話の切り込みネタの「うさぎの絵皿」ですが、よく出回ってそうに見えて、実は珍しい品なのです。
たいていの店には無いか、あっても高額か。つまり買わずにすみます。ふふふふふ。
「マイセンの人形の鑑定について」実は一体の人形を持っています。
恐らく19世紀くらいの作品で、買った当時は22歳、一か月の給料をはたいて買ったのですが、その後によくよく調べると、この年代のマイセンはそんな金額じゃ買えるはずないほど希少価値で、しかも偽物が出回った年代なんですね。
怖くていまだに鑑定していません。

さて、三日で10件ばかりお店を回ってみたその結果は。
「聞いたことない
口をそろえて、皆さん仰いました。
「長い事商売しているけど、それはないなぁ」

あってもせいぜい、番町皿屋敷だわと10件中8件のお店の方は仰いました。
「鍋島の大皿は、一枚一千万はするからね。お菊さんが割ったのは8寸皿でしょ。しかも鍋島藩からの献上品やもん。そら
切られるで」
ううむ、切られた女中さんへの同情よりも、割れた皿の価値を冷静に判断する、骨董品屋さんならではの視点。
「鍋島の大皿は、枚数少なくて物凄く貴重だから、国に所有者登録まであるのよ」

それから「幽霊画」の事も教えて頂きました。

「幽霊の掛け軸は何千万単位でね。秋になれば、値段は落ちるけど」
季節ものらしい。幽霊の「足が無い」を引っかけて、「アシが出ない」の縁起物とは聞いた事あります。

……幽霊とは全然関係ない知識を仕入れてしまい、帰途についた私。そして後日の塾にて、そのを話をしてみたところ。
先生仰るに。
「○○って芸人が、骨董品屋でバイトしていたらしいけど、そんな話たくさんあったらしいで」
「へ?」
「無いほうがおかしい、と言うてたわ」

あっても私には教えてくれなかったって事かい!

まあ、そりゃそうでしょうね。部外者で上得意でもない、一見の客に企業機密に近い話はしてくれないか。
やはり潜入するしかない。
バイト募集していないものでしょうか。
続・塾のあっち側
前回続き。

「怖い」の感覚が麻痺した先生より、投げられた突然の質問。

「それで、この話は映像化するなら実写?」

きっぱりと打ち返しました。
「アニメでお願いします」

漂う微妙な空気。クロサワをこよなく愛す映画人、先生に刃向かう塾生。私の青春と文化は、1980年代のアニメ黄金期によって磨かれています。
ついでに言えば、このストーリー妄想もアニメで進みます。
キャラクターデザイン、内田順久でよろしくと付け加える私。あの人の描く絵は、男女どちらも色っぽい。

「人を喰う場面は、実写のほうがインパクト強いで」
「絶世の美人を出しているんですよ。実写じゃどの女優さん使うんですか」
「美男美女を書きたいんか? ホラー書きたいんか? 実際に無いものを作り上げるのが映画だ。アニメでスプラッタはイマイチ迫力に欠ける」
「うーん、でも美少女はアニメのほうが完全形ですし、これ、内容はラノベ色を強めていますしね。ラノベはアニメでしょ」
「ラノベ! 真代屋の本みたいに肌色が多い表紙のラノベ! 」

うーん、そうだった。人間を喰う事ばかり気を取られていたが、ラノベにするには「お色気」が必須だった。

「分かりました。先生。制服のスカートを短くして、すそがヒラヒラする描写を入れましょう」

この日、出席されていた新しい塾生の女性、Kさんも前にいらっしゃったのですが……笑われていた気がします。
物凄い映画マニアの方です。そんな映画あったのか!と叫ぶようなものをご覧になっていました。
映像が大好きで、脚本を書きたいとのこと。
合評のその後の飲み会で、映画話で盛り上がったのですが……元々先生のファンの方で、ついにお会いできたと、とても嬉しそうにしておられました。
そうだった、私もそうでした。高校生の頃くらいに出た新耳袋に、あれで衝撃を受けたんだよなぁ。
正に雲の上の方で、入塾最初は恐れ多い気がしていたのに、尊敬の念は変わらずとも、態度はかなり……あああ。

先生、申し訳ありません。今まで緩んでいた態度を改めます。

でも、映像化するなら実写よりアニメです。
塾のあっち側
第2木曜日は合評。
『感染したら、理性と知能が低下して、人を喰いたくなるウィルスがこの世界に持ち込まれる。それに感染したものの、自我と知能はそのまま、人だけ喰うようになった元優等生ヤンキーと、過去に仲が良かった同級生の少女、そしてウィルスを駆逐するために、この場所にやって来た苦労性の美少年と、無表情な超絶美人のお話』


第一章 ヤンキーがウィルスに感染し、同時に感染した仲間同士で共食い
第二章 主人公の女子高生、変な出来事に巻き込まれ、正体不明の二人組と知り合う。
第三章 ヤンキーの中学時代の回想

前回指摘の「三章は削れ」「三点リーダ多すぎ」などを修正し、合評へ。

ちなみにこれ、80年後からこの現代へやってくる、タイムトラベラーが出てくる話でもあるので、当然彼が現代日本を見ながら、自分たちの時代がどう変わったのか、あれこれ電車を見ながら考えるSF的箇所があるのですが。

「SF的な部分、出来るだけ削ってしまえ。SFとホラーは相性が難しい。映画の「エイリアン」のような閉鎖空間に閉じ込められた、人間心理を書いて成功したものはあるけど、これ違うし」

SF好きを唸らせるようなものならまだしも、中途半端なSFなら、無いほうがいいのです。
本当のSF大好き眼鏡青年を思い出す私。確かに彼を納得させるものを作る力は、私にはない。

「それから、ホラーにしてもあまり怖くないな、コレ」

スプラッタ描写はあるんだけどな。ついでに言えば、そう仰る先生、以前に「怖いという感覚が分からなくなった」と仰っていましたよね?そりゃ怪異収集家の職業病ですよと内心突っ込みましたが。




夢.時々打算
タイトルに「陶磁器」が入っていることだし、久々に陶磁器の写真。
3年前くらいに、京都で毎年8月に行われる、五条坂の陶器祭りで購入。高さは13センチ程で、結構小ぶりな壺。
この陶磁祭りは、清水焼、京焼以外にも全国の焼き物や、若手の陶芸作家の方々も出店しているもの。

陶磁器好きの私は、毎年その若手の作家さんの作品を見るのが楽しみなのです。
「青田買い」うふふふふふふ。
将来の大陶芸家がいるかもしれない、陶磁器好きで、肥りに肥った私の眼力でもってそれを見抜き、まだ無名の今のうちに、作品を購入しようじゃないですか。

芸術と金銭、そして「お得感」を愛する私は、そんな邪な楽しみと共に、蒸したせいろの中みたいな、8月の京都へ毎年出かけていきます。

そして購入したのが、この壺、下記写真です。

若い女性の方でした。確か九州の波佐見焼の作家の方でした。
見た瞬間「おおおおお」と感心。

少し灰色の混じる白磁に、冷やかな青い手書きの牡丹が描かれた壺。
すごく、繊細な牡丹。普通、牡丹は華やかなモチーフですが、こうなると何だかクールビューティって感じだ。
博物館だか美術館で、こんな静謐で美しい、伊万里焼の壺を見た事がありました。

「おいくらですか?」
「さんまんえんです」

ちょっと、言いにくそうに値段を告げる作家の女性。一瞬固まった私。

「……でも、とっても手間がかかっているんです……」
付足される小さな声。
「……そうでしょおねぇ……」
つぶやく私。

『値切る』関西人としての突破口を使うかと考えた私ですが、こんな品物を値切る、という行為は、作家の実力や労力を『値切る』気がして良い気がしない、しかも若い作家の方です。
今後のモチベーションにも関わってしまう。

「これ、下さい」
さんまんえん差し出した時の、あの人の笑顔は見ていて結構嬉しいものでした。
それから、この壺は新年と、春から夏の間、私の部屋に飾られているのです。そして、この壺を出すたびに思う私。

「彼女が大陶芸家になってくれますように!」

だって青田買いですよ。先行投資です。あの大陶芸家の初期の作品が、この私の部屋でずっと飾られていたなんて、大笑い、陶磁器愛好家の勝者。

だから、お願い、何があっても陶芸の道を辞めないでね、(確か)ナオコさん、あなたの成功は私の勝利です。
あの超暑い京都で、一度の触れ合いであったけど、そして自己中も入るけど、純粋に応援します。

……ところで、私の作家志望の夢を、人さまが応援してくれているかどうかですが。

「ネタ提供料請求するに決まってんじゃん。こないだ課題作品のヒントあげたし」
「私の名前、登場人物の名前に使ったでしょ。キャラクター使用料よこせ」

純粋な応援、というものを、他人に求めるのは無理ですね。特に私の職場の皆さんには……。

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後悔していいのかこれで良かったのか
先日、知ってしまった衝撃の事実。

塾生の皆さまは先刻承知だが、本人は全く気が付いていなかった。

先日、塾の授業終了後の飲み会で知りました。
……ここに入塾して約2年半。ずっと小説課題を提出してきた私の小説。
ついに先生が明かして下さった衝撃の(本人以外は周知の)事実。

実は、私の小説はぜんっぜん面白くなかったらしい。

「何でもっと早く仰って下さらないんですかぁ!」
「だって、正直に感想言って、小説書くのやめられてもあかんし」

有難うございます。今までずっと気を使って頂いていたんですね。
さいきんようやくマシになってきたから言えるけど、とのコメント付き……そうでしたか。ようやくマシですね。
小説書き始めてン十年、ようやく「マシ」レベルかよ、私。

さて、そこでつらつらと考える私の過去。今より数十年前、就職活動を始める頃でした。
その当時、私は結構悩んでいました。どちらをとるか。

「就職する」
「小説家目指して、フリーターをする」

当時の社会情勢ですが、バブル期の終わりで、あの頃は最後の学生就職売り手市場でした。
(その後、就職氷河期が始まります)そして、正社員にならないフリーターという身分も、結構多かったのです。若い女性の「家事手伝い」も普通にいたように思います。

結局就職したのですが、その意志を決めたののは、ある雑誌に連載されていた「キッス」というロックグループのメンバーが回答する人生案内の答えでした。
その相談者は、大学生で就職活動を控えた青年。
内容は「ミュージシャンになる夢を持っているのだけれど、プロになれるかどうかはどうか分からない。だけど諦めずに、就職をせずに夢を追うべきか、現実を見て、ちゃんと就職して働くべきか」

さて、その回答。
「まず、自分で自分を養えるようにするのが先決。大人として、それが絶対条件だ」
「就職していても、練習なら出来る。音楽は毎日2時間練習出来ればそれで十分」

……目からウロコ。そうでした、今は小説家になる以前に、自分自身を養える大人にすらなっていないではないか。
まず、大人になれ。それからやりたい事を目指そう。

はい、そして就職してその後。

書けませんでしたね~「定時退社」なんて夢の夢、手を伸ばしても届かないお星様。書く時間がない、それ以前に、意欲の尻すぼみってもので、書いた小説をきちんと完成させる事も出来なかったし。
ですので、その頃は投稿すら、ほとんどしていない。

ああ良かった、仕事していたから、まだ社会的な居場所は出来た。有難う、あの時の回答者様。
無職だわ、かといって好きで選んだ筈の小説は書けないわでは、何が出来るんだ。

ですが、一方では想像することもあります。

就職を選択せず、そのまま自分のやりたい自由を選び、プロの道を勝ち取った人を見ると、
果してあの時の私の選択は正しかったのか?

もしも就職せずにフリーター、小説の道を突っ走っていれば、もう少し早く「マシな小説」が書けるようになっていたかもしれない、と。

……まあ「もしも」は「IF」でしかない、現実の幻でしかないですし。
「もしも小説の道を一本にしぼっていたら?」というパラレルワールドも、実際にあるはずがなく、存在する過去の道は一本のみです。

気を取り直して、ヒッチコックの「鳥」でも見るか。