陶磁器と文鳥と作劇塾
作劇塾の塾生です。塾での日々、及びアンティークや陶磁器類、そして文鳥の雑文
塾の向こう側
小説書く塾生にとって、合評の日は大事です。自分の課題を、第三者の目で作品をチェックしてもらう機会なのです。
正直言って、この時間があってこそ作劇塾というものでしょう。
だってさー、書いているもの他人に読ませずに、感想聞かずに、作家修業っていうのかよ。

……と、上から目線で言ってみましたが。
合評とは、今後の書く気力を試される試練の場でもある。

「やっぱりラノベじゃないよな」

と、合評三週間連続で言われ……いや、回数控え目に言っております。聞かないフリしたのも、ここではカウントしていません。

「何だって、ラノベに固執するかなぁ。ラノベ書きたいんじゃなくて、好きなモノ書けよ」
「好きで書いてますよ。この世界観ならラノベだって思ったので、ラノベで書いているだけですよ」
「だからさ、俺から見たら、この作品ラノベじゃねえって言っているじゃん」

「メインの高校生三人組が出てくる章は、まあラノベっぽいかなと言えなくもないけど」

……ほほほ、過去幾人もの塾生が、合評の刃の前に倒れたという噂は本当ね。
気持ち分かるわ~仕事の進め方を批評されるのと、ワケが全然違いますからねぇ。
いわば、自分自身をまな板の上でぶった切られるようなもの。そりゃへこむわ。

「いつものKさん(私です)の書き方って、丁寧なんですよ。ちゃんと材料揃えて、煮干しならはらわたまできちんと除いて、出汁取ってるみたいな。でも、これだとせっかく出汁を無駄に使っちゃうような、その持ち味台無しにしちゃうんですよね」

有難うNさん。過去に「説明文」と言われてしまった私の作品を、ここまで華麗に言い直して下さったのは貴女しかいない。

「つまりですね、最初っから入れる箱を決めるなってことですよ」
「……はあ」
「最初からラノベだって、ジャンル、すなわち入れる箱を限定しなくて良いじゃないですか。書きあがってから、それに合う箱を探せばいいんです」

ふむ、と考える私。そこで、再び先生の声。

「俺さぁ、ラノベ書くなって言った憶えはないよ。お前の作品、ラノベじゃねえじゃん、と言っただけでさ」

……有難う、皆さん。光が見えました。
ラノベにこだわらないことにします。

ライトなスティーブン・キングでいってみよう。
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結局のところ……
先週金曜日の夜に『これを見れば、一週間以内には必ず女の幽霊を目撃できる!』映像を見てしまった私。

号泣しながら、職場の皆さまに切々とそれを話し
「そういう事で、一人じゃ怖いからトイレついてきて下さい!」
と、懇願するも
「どあほ!昼間のトイレに怯えるな!」
「あれほど怪談イベント行っているんです!ホンモノ見れるって喜ぶのが普通でしょうが!」
と、冷たく突き放され、怯える夜を送る事七日間。

……見なかった。
あの夜、一緒に映像を見たT野さんも、結局見なかったらしいが。

あー良かった。

ところで、二日目の朝に金縛りに遭って会社遅刻しかけたとか、四日目の夜中に目を覚ましたら、足元に変なオヤジがいて笑って消えたとか、それってカウントに入っているんでしょうか。
塾のそちら側:番外
「怪異収集家」先生がお持ちのDVDに、トンデモな逸品がある。
笠置ホテルへ、北野誠さん達が潜入した映像。
廃墟に潜入した芸人さんの背後に、いるはずのない女性が……!
しかも、そのカメラに映る女性の立ち位置、角度や高さ、検証してみれば、どう考えても生身の身長ではない。

その潜入を行った芸人さん達は、次々と災難に見舞われ、そして、その映像を見た塾生の皆さんは、一週間以内に次々と怪異に襲われ、女性の幽霊を目撃したという。

無事なのは、その映像をダビングしまくって周囲に広めた、先生と後二人のみ。
おう、『リング』は真実だったか。

その夜、その話を聞いていたのが、授業後の恒例の飲み会。朝まで飲むことになった先生を含めた三名。

「ほっほっほ、凄いいわれですねぇ」
「見てみるか?」
「ホッホッホ、怖い目に遭うのは嫌です。見るのはどなたかにお任せします。で、私はその体験を聞くってことで」
隣で飲んでいたT野さんが、横目で私をちら見。
「作家を志すなら、ヤバくても自分の身で体験しましょうよ」
安全地帯をキープし、その上で世間を観察するのが私の処世術です。
……その話題が消えてしばらく、先生がDVDを手に「あ、これこれ」

不意打ちで、見ちまったよ。
しかも、大画面50インチ。

「1週間以内に、次々と幽霊を目撃するなかで、最後に残ったのが俺と同じように、幽霊を全然見ないタイプの子でな。で、最後の1週間目の夜に『出て来い!』と啖呵切ったらしいのよ。そうしたら、いきなり目の前に女の顔が現われたと」
……彼女、気絶したそうです。

ついに、私も幽霊目撃デビューか。
塾のそちら側②
続き

……うわ、今、正に同じ事言われている私。
「いやー、人を喰っている登場人物に勝てるインパクトって、何があるかな」
「単なる美男美女のコンビじゃ、難しいなぁ」
かかかと笑う、先生とK田さん。うーん、この「反・ラノベ連合」め。
おーい、K下君。ちょっとは加勢に回ってよ。

まあ「反・ラノベ連合」との、そんな時間ですが。

「難しいな、とは言うたけど、別に書くなとは言うてへんで」
と、飲み会にて、先生。
「書きたければ、書くな言うても書くやろ。それが小説書きたい、作家になりたいって事や」

ごもっともです。

そして飲み会参加のT野さん。

「ラノベを読みましょうよ。そうすれば、文体と空気感つかめるでしょ」
「ふむ、スティーブン・キングと浅田次郎読んでる場合じゃなかったんですね」

オイオイ、真逆のモノ読んでどうするよ。しかも、アナタの文章はまだそこまで高尚じゃねーよ、とT野さんの表情筋の動きを読んだ私。

合評にイジワル感が交じろうと、助言にオイオイ感が入ろうと、否定や制止はない。
その裏には確かな応援心がある。それが作劇塾。

少なくとも、下手くそな小説でも、書いても無駄だとか、止めろとか否定は無かった。
書きたきゃ、それを書けとは言われますがね。

『夢は持ち続ければ絶対叶うよ!』という、放置感のある生ぬるいポシティブよりも、こっちの方が居心地よろしい。

さてさて、「フルメタル・パニック!アナザー」 ラノベ読んで課題を手直ししようっと。






塾のそちら側①
合評。
この日、同じ塾生のNさんが急用で欠席。せっかく課題を提出されていたのになぁ。
残念。

Nさんの小説は、失恋したOLが、子供の頃の思い出の場所に赴き、そこで遭遇する不思議譚で、それを食に絡めて展開していくストーリー構成。とにかく食べ物の描写が美味しそうで、登場人物の描写も面白い。
……私には、そんな小説書けない。同じ塾生として、実は嫉妬しながら読んでました。
そんなNさんの小説がついにフィナーレを迎えまして、次回作の構想など聞けるかと思ったのです。
以前の飲み会で「ドロドロした話書きたい!」と口にしていたNさん。ほ、本気ですか!そりゃ田辺聖子とサスペンスみたいなもんだぞ!と内心驚愕した私ですが、まあ次回のお楽しみって事で。

そして私。
呻く先生。
「やっぱりラノベとスティーブンキングは難しいんとちゃうの?」
K田さん
「うーん、何と言っていいのかなー。前と比べて随分違うぞって言うか」
文体がラノベから外れているって事らしい。
「説明が多い。セリフと行動の描写で、内面を映すのがラノベ」
先生とK田さんに、ちょいと抵抗してみる私。
「ラノベの条件は、文体だけではなくて、キャラクター主体で話が進むっていうのも特徴だと思うのですが」
「で、主人公は誰?」
「主人公を完全に喰っていますよね、この敵役。このキャラクターが出てきている章の方が、断然面白いもん」
「人間を食っているキャラクターの方が、主人公より断然インパクトあるよな。そうそ、あの小説の『メイシュン』状態」と、先生。

『メイシュン』それは、塾生の一人が過去に書かれていたアクション小説のヒロイン。
舞台は現代の大阪。主人公は特殊な血筋と能力を持つ、実は人間ではない「異人」
そんな彼が、「竜骨」をいうお宝を巡り、同族、警察入り乱れての争いに巻き込まれるお話。

そう、そのメイシュン(冥春かな?)は、立ち位置は敵役。金に雇われれば依頼は忠実に遂行する「殺し屋」の異人だけど、同族意識と面喰いなのか、主人公の青年を秘かに(?)気に入っている色っぽい美女。
しかも犬猫好きだけど、殺し屋の職業柄、留守が多いので飼えない事をぼやいている。
そうでした。私も当時、その課題に批評をしたのです。
「ヒロイン(冥春)際立ち過ぎですよ。主人公が優等生過ぎて、影が薄い」

続きます。

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夢とぼやき
私にとっては、頭の中から日常を追い出す作業、物語を書く事は大好きなはずですが、詰まってしまいまして。

現実逃避(物書き)から、ちょっと逃避することにしようと、本屋へ行って見つけた本。


中川淳一郎氏 著『夢、死ね』を思わず購入してしまいました。
作家志望、夢見る職業を持つ者としては、読まなくては!と思わせるタイトルです。
サブタイトルは『若者を殺す自己実現という嘘』
私、年齢的に若者というには何ですけどね。まあ、寿命が来るにはかなり先の年齢だから、まあいいや。

さて、この本は先生の仰る事とは真逆の語りから入ります。
先生は常に「夢を語れ」と仰いますが、この著者はそれを否定しています。

「夢を持つ事を煽るな、あなたは成功できたから、それを言えるのだ!」
夢を持ち続ければ、それは叶い、幸せな人生を歩めると説く事を、真向から否定しています。

仕事とは、お金を得るための活動であり、社会との接点を作るための活動であると。
そこに『夢』『自己実現』を先に持ってくるべきじゃないと。

ですが、内容は塾の授業とほぼ共通しています。

切り口は真逆だけど、基本は同じ。
「僕のやりたい事じゃない」
その夢の職業に就きたいのなら、それを言っちゃ駄目。
その仕事をこなしていく事で、信頼を得てスキルを磨く事が出来る。
やりたい仕事をするなら、まずそこからだと。

才能よりも、良好な人間関係を作れるか否かが仕事では重要とも。
結局、仕事を振るのは使いやすい(気心しれた)相手だと。

つくづく、第一線の人の言葉って、共通していますねぇ。

と、言う事で、そもそも課題に苦しんでいる場合じゃない。そんなステージすら上がって無いじゃないの、私。
「作家になりたければ、書け、投稿しろ」

はい、ごもっとも。
このお言葉も、先生と著者共に、共通した言葉なのでした。