陶磁器と文鳥と作劇塾
作劇塾の塾生です。塾での日々、及びアンティークや陶磁器類、そして文鳥の雑文
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さて、暇になると碌な事を考えないのが人。

そして、私もその一人。

別に仕事を干されている訳ではないのですが(そう思いたい)仕事が無くなってしまって、ただ今職場内無職。

「私に雑用頼むなら、今ですよ」
と、アピールしてみたら、雑用は全て新人に奪われていた……仕方が無い。机の上で妄想しよう。
サボリも脳内なら気がつかれまい。

ただ今書いているのは、人喰いのお話。

今回、人を喰う立場の視点も入れているので、いかに美味そうに人を書くか悩んでおります。
そういう訳で、想像してみよう……人が美味そうとは、どういう事が。どういう風に見れば美味そうと思えるのか。

じぃーと職場を見回す。この中で、誰が美味い肉なのか。

意外だなあ、そういう視点で見れば、スレンダーで可愛いM嬢はマズそう。腕に肉があまり無いし、化粧が邪魔。
N氏は良く見れば、良い肉ついていますね。でも毛深いから下処理が面倒くさい。
プニプニのGさんは、水分多くて大味っぽい。

中国だったか、二本足の羊は、女子供が、でもって死んだばかりのが美味しいとか聞いたけど、結構男の方が美味いかもしれない。味が濃そうだし。

「部長、筋肉質だし、体格良いですね」
「ん? そお?」
190センチはある我が部の部長。横幅もある巨漢。色黒、肉も締まっている。
「腕も太いし、手もグローブみたいだし」
「……ありがとう」

流石は管理職。部下の目を見て、心を読む能力に長けておられます。
私の言葉が上司への褒め言葉ではなく、肉の選別であることが分からないにせよ、不穏なモノを感じられたのでしょう。
かすかに目が光った。

「僕の一番大事な仕事は、君たちの話を聞く事です。何か悩みがあるなら、ちゃんと話すように」

上司として、物凄く真っ当な言葉をかけられてしまった。

ごめんなさい。部長、もう脳内サボリはやめます。





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塾のこっち側
合評。
さて、人喰いウィルス感染した女子高生ヒロイン、本来なら人類の健康と平和のために処分されなくちゃならないのですが、感染していても発症しないキャリアである事判明。
でも、彼女が発症しないとも限らないし、無自覚のまま感染源となる可能性も高い。
本来なら殺処分、でもこの時代の人間である彼女には、拘禁権も逮捕権も無い。
でも放っておけば、世界が変わる。その処遇に頭を悩ます『人喰いウィルス殲滅部隊』軍人にお医者さんにその他、事務職の皆さん、そして高校生軍人二人。
さあ、どうなるこの展開!

「一年半かけて、設定直して書き直してやーっとマシになったなぁ」
 長い道のりだったと呟く先生。
「登場人物のセリフのやり取りで、今の状況と正体不明のこの団体の背後を匂わせられるようになったやんか。まー今まで説明文は多いし展開はトロいし。やっとこれで緊迫感が出たわ」

 ぼやきとお褒めの言葉をセットして頂き、ありがとうございます。
 嬉しいけど顔にスダレがかかります。

「高校生軍人二人が、この娘に張りついて監視する事になるんやろ。今後どんな展開になるかやな」
「監視するのに邪魔なんで、彼女の母親を外国に追いやろうと思うのです。娘に同居人(高校生軍人二人ね)が出来たのを幸いに、高校生三人に家を任せて、外国にいる恋しい夫の元へ行ってきまーす、てな感じ」
「あかんあかんあかん!」

先生、この展開に何故か激しい抵抗。

「母ちゃんがまだ高校生の娘を置いて外国行くか! 俺が父ちゃんなら17才の娘が心配で、妻を追い返す!」
「えーそうかな。もう高校生ですよ」
「フツーに考えろ!第一な、話を考えやすいように邪魔者を消すようなやり方はアカンって」

ギク。でも、少年少女だけで一つ屋根の下の同居生活って、漫画っぽくてよろしいとも思ったんだけどな。
楽しそうじゃないの。大人不在の共同生活。弛んだ空気に、同居生活ゆえに浮上する人間関係やルールを、破る破らないの葛藤とかさ。
「あえて、やりにくい状況に設定しろ。監視するのに、同居するお母さんいたらやりにくい。そこのところ、どう打開するのか。そっちのほうが読者はワクワクする」

……という訳で、飲み会へと移行。
本日もぶうぶう文句仰る先生。

「自分の前の課題なんか、ホラーとラノベの融合言うても、ホラー部分はとにかく、ラノベ部分がぜんっぜん面白ないと前から言うとんのに、じゃあラノベで書き直そうかなんて言うとったやろ。訳分からんわ」

「いやー、私の作品、ラノベが弱点なら、書く事で修行になるし、克服しようかなーなんて思ったんですが」
「言うとる意味が分からんわ」
「何でそんなに、ラノベを書くのを嫌がるんです?」
「ラノベが嫌いなのではない。ラノベ書こうとする奴らの言い草がアカンのや。何かしろ、これを見ておけ読んでおけと助言しても『僕はラノベを書きたいので、それを読んでも意味がありません』とか何とか。ラノベ作家になりたいからラノベしか読まんって、どういう了見やねん! それでええ筈ないやろ、想像力が学園生活の外から抜けられへん」

……アンパンマンからエロ小説まで。ナンパから盆栽、カフェの経営のハウツー本と、ラノベ以外も読みますよ。私、とばっちりだよなぁ。

とはいえ、荒木飛呂彦先生の「漫画術」を読んでいたのですが、その内容には先生の教えとかぶっている個所もかなりあるのも事実。
この日、新聞の日曜版を開くと、手塚治虫先生の『漫画を目指すんだったら、漫画で勉強しなさんな』とのお言葉が載っていました。
そういえば、あるラノベ作家の方は、過去にラノベをほとんど読んだことが無かったとか。

プロのお言葉は似通っている。
さてと、映画観て本読もう。

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先日のネトラジのテーマが『トラウマ』だったせいもあって、もう一度観てみる気になった映画『眼には眼を』

名作のバッドエンド映画です。
ストーリーはブログやレビューなど、他の方々が詳しく書いておられますが、テーマは『逆恨みによる復讐』

舞台は砂漠の国。
雨の降る夜、フランス人医師のバルテルの元に男が訪ねてくる。妻が腹痛で苦しんでいる、どうか診てくれと。だけどその夜、バルテルは非番で疲れていたので、診療を断ります。何を食べたんだ? ここでは何もできない。車であと二十分も行けば、病院があるからそこへ行ってくれと。
次の日の朝、出勤途中、バルテルは路上に放置された男の車を見つけます。そして、出勤したバルテルに部下の医師が言うのです。
昨夜運び込まれた急患の女性が死んだと。腹痛と高熱。実は子宮外妊娠だったと。
この病院に来る途中、車が故障して、夫は妻を伴い、六キロの道を歩いてきたのだと。

誤診してしまった部下は言います。
『先生だったら、助けられた、誤診などあり得ない』

それから始まる、深夜の無言電話。誰かが自分を尾けてくる気配。あの男だと、バルテルは自分の立場を説明しようと、妻を亡くした男、ボルタクを探します。その結果、奥地の村へ診療に行く事になり、そこで車を壊されて足止めを食います。
帰ろうにも、街へ出るバスは週に一度。そこに出現するボルタク。
商談のために、街へ行く。一緒に行きますかと。
それがボルタクの復讐。バルテルはボルタクと共に、徒歩で砂漠をさまよう羽目になるのですが。

ダマスへ行く道を知っているというボルタクに、散々引きずり回されるバルテル。
道を間違えただの、枯れ井戸に連れて行かれただのと、何度も失望させられ、喉の渇き、気力も体力も使い果たしたバルテルは叫びます。
「もう、死んだ方がましだ。殺せ」
ボルタクは言います。
私も妻が死んだ時、そう思った。同じような気分を味あわせてやろうと思っていたと。
「やっと死にたくなったか。だが俺は人殺しじゃない」

「街は、あの山の向こう。信じないだろうね、だがこんどこそ本当だ。早く行ったらどうです? ひとりで」

そして、昼寝を始めたボルタクの腕を、バルテルはナイフで切りつけ、治療して欲しければダマスへ連れて行けと脅すのです。
そのままだと、腕は壊死して腐るぞ、死にたくないだろう?
気が変わったか?と。
「そうです、すっかりね……変わりました」
その時、ボルタクは最初に示した『あの山』ではない方向を見やります。
「あっちです」
そして、二人はよろめきながら砂漠を歩き続ける。弱っていく二人。
そして倒れるボルタク。
「まっすぐです、ずっとまっすぐ……お気をつけて、良い旅を」
笑うボルタク。

そして、有名なラストシーンです。
歩いて行くバルテル。引いて行くカメラ。やがてアングルは俯瞰となり、バルテルの行く手を映します。どこまでも続く、果てしない砂漠。

……ボルタク、バルテルを殺す気は最初、無かったと思っています
腕を切られ、バルテルに脅迫された時点で「気が変わった」んだろうなぁ。

逆恨み、と言われていますが、私はボルタクの方に同情気味。

腹痛と高熱で苦しむ妻を、雨のなか六キロも歩かせて、しかも誤診で死なせてしまった。
犬死だと、ボルタクは言いました。
実際に誤診したのは若い部下ですが、その状況に追いやったのは、バルテルかなあ。
「先生だったら、助けられた。誤診などあり得ない」
部下が言った言葉。これは自分の未熟さを悔やむ言葉か、それとも、ボルタクが最初バルテルの元に訪れたのを知っていたのか、否か。
知っていたのなら、部下もまた、バルテルを責めている。
「何を食べたんだ? 鶏の詰めもの?」バルテルはあの時、電話口で患者の状況を聞いただけでした。でも、部下は思ったのか。先生なら、患者の顔色や苦しみようを見れば、只の腹痛じゃないと分かったかもしれないと。

医師だって人間です。疲れていることもあるでしょう。
ですが、愛する妻が苦しんでいるのを目の前に、ボルタクは必死だった。
それなのに、救いを拒絶された。誤診よりこっちの方が、恨みは深いでしょう。
気持ち、よく分かる……。

ボルタクにふかーく同情した私でした。

気晴らしに、ファイナルデスティティネーション見よう……