陶磁器と文鳥と作劇塾
作劇塾の塾生です。塾での日々、及びアンティークや陶磁器類、そして文鳥の雑文
塾のあっち側
合評。

人喰いウィルスのキャリアになったおかげで、高校生軍人二人に生活を監視される羽目になった、女子高生ヒロインの日常からスタート。
高校生軍人二人、男女そろって美形。表向きは双子の姉弟ということで彼女の家に下宿。おかげさまで同居生活しているヒロインのお母さんは目の保養に喜び、学校の靴箱からはラブレターが乱舞するという描写を入れてみる。

だって、性格がひねた人喰いヤンキーの心象風景に殺人描写書いていたら、次章は明るくいきたかったんだもの。

「いきなりノホホンとなってるで。なんやねん、このラノベっぽい描写は」
「緊張と緩和ってことでお願いします」
「緩和しすぎ。映画でも、いきなり口調や演技が変わったりしたら不自然やんか。ホラーで日常書くにしても『エイリアン』とか見てみい。どこか緊迫した空気があるやろ」
「……その章によって、明暗のくっきり分かれたホラー。そういうの、書きたかったんですよ」
「ちゃんとしたホラーを書けるようになってから言うてくれ」
「全編改稿ですか」
「全編改稿やな」
「あのー、この部分は良いよってのは無いんでしょうか?」

書くのは好きですよ? でも書く時間という問題があるので、訂正箇所とそうでないところ、出来る事なら合理的に進めたいと考えたのですが。

「ダメ。ぜんっぶ書き直し。部分部分を残して書き直しをしても、全体的にちぐはぐになるだけだから、やるなら全部やり直し。ついでにいうなら、靴箱にラブレターなんて古い! 今はラインにSNSやろ!」

……えー、ラブレターの方が絵的に面白くないですか?

しかも、ラインとSNS? ケータイもスマホもお持ちではない先生の口から、そんな単語が!
パソコンなんて分からんと仰っていた先生が、私の知らない世界をご存じ?

つぅか、遅刻寸前、トーストくわえて学校へダッシュ、曲がり角で衝突した相手と恋に落ちる展開と、靴箱に入っているのはラブレターか果し状、保健室の先生は巨乳の美人。

これを書きたくて、ラノベ書きたいとほざいていたのに!

全編書き直しよりも、先生の単語にショックな金曜日でした。

ちなみに私はガラケーです。




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塾の向こう側というか、課題提出期限までのココロ
作劇塾の門を叩く人は、作家や脚本家、クリエイター志望の人、もしくは何か表現したいという人が通っておられまして。
当然、その課題があります。

月の第一週目に課題を提出、その作品を第二週に合評して、アカが入った部分、指摘された部分を直す、もしくは続きを書いて三週目にまた提出、その作品を四週目に合評に乗せる。その繰り返し。
一週ごとに、課題の提出期限が来るのです。

楽し怖しなのですね。これが。

まず、合評に出した作品がぼろくろにけなされ、次の週までに修正する場合。
これがきっついのです。いえ、けなされているのではなく、欠点の指摘なのは分かっちゃいるけど、その点が納得できるかどうか。

「描写が『少年』だけじゃ、小学生なんだか高校生なんだが、年齢幅があって想像しにくいですよ。このあたり、若い男の方がいいんじゃないですか?」

という、文章テクニックだけならまあ、よろしい。
ですが、世界観を指摘されてしまうとしましょう。

「それでラノベ書いているつもりか。話もラノベ向き違うし、主人公もキャラクター薄い」

これが一番キツイ。
自分が面白いと思ったものが否定された、自分の頭の中にダメ出しされたも同然。
納得できないし、へこみます。
これを救うために授業後の飲み会という場があるのですが。
合評の続きが出来ますからね。何度先生とぶうぶう口論したか
そして気を立て直し、書き直し……と行きたいのですが、何でか恐怖心というか、書くことに怯えてしまうのです。
まあ、これも己の存在を認めてもらうための作業の一つですからね。
それがまた、否定じゃないけど、否定されたらと想像したら、これはおっくうになる。
書くことは好きだけど、好きで作ったものだからこそ、褒めてもらえないのが怖い。
ナルシズムって奴ですなあ。

そして、今書いているのは長編です。
書き進めるのは良いけど、完結できるのか?
頭の中に、一応最終のオチはあるのですが、そこに無事、話を着地させることはできるのか!

話をちゃんと転がす事は出来るのか!

そして、合評提出、ちゃんと落とすことなく書き続けられるか!

第一、三週目は必ずこの不安でいっぱい。

……実は、それが楽しかったりして。








塾の裏側、そして愚痴のこぼし方
合評。

モーションのかけ方の色気とか、くどい説明文だのを修正して次の章へ。
ああ良かった。思わず念を押してしまいましたよ。

「ほんっとうに次行って良いんですね!」
「ええっていうとるやん」

疑い深いやっちゃなと先生の目の色。いいえ、疑っているのは先生の許可じゃなくて、自分の技量。
怖いものを書いているはずなのですが、「怖いのツボ」が分からなくなってくるのですね。

飴村行氏の『粘膜人間』を読んでいます。中学生の兄弟二人が、プロレスラー並みの異常な体格を持つ、凶暴な小学生の弟に恐れをなし、村に住んでいる河童三兄弟に同級生の女生徒の貞操を餌にして、弟を殺してほしいと依頼する話。
それを思い浮かべながら先生に質問。

「ホラーって、悪趣味とスプラッターとエロはあったほうが良いですか?」
「その話に必要ならな。ホラーっていうのは、怖いという雰囲気やで。臓物と血が出りゃいいってもの違うで。怖いが第一.
追い詰められる怖さ、閉塞感」
「と、なると、先週お話した、次回の新作小説のプロットは怖くないですね」

過去譚を話す、いわくつきの骨董品を題材にしたホラーを考えていたのです。

「ぜんっぜん怖くないな。ついでに言えば、今の合評課題の小説もホラーや言い張るけど、話はとにかく、怖くは無いで」

……人を喰ってるだけじゃ、ホラーとしてダメらしい。

話変わりまして。
最近つらつら考えるのが「正しい愚痴のこぼし方」

人間、支配するものと支配されるもの、愚痴を言うもの愚痴を聞かされるものと二分されています。
私は愚痴の「聞き役」に回ること95%。
その愚痴の聞き役の立場として、想ったのは、愚痴のこぼし方のマナーです。

『あっちこっちで愚痴言わない』
Aさんの愚痴をBさんにこぼし、Bさんの愚痴をAさんこぼす。そしてAさんBさんの愚痴を私にこぼす。

職場でありがちな光景ですが、この人に愚痴を聞かされていると、絶対に私の愚痴も、この人誰かに言っているぜ、と思う。

『食事中に言うな。話したいなら5分以内にすませろ。そして明るくしめくくれ』

食事は本来楽しい場です。キミの愚痴で汚したくは無いのだ。どうしてもというなら、笑いをとるか明るく終わらせるか、どちらかにしろ。
「それで、最近食欲無くって……」なんて意地でも言うな。飯も残すな。
どうせなら、やけ食いしてくれた方が見ていて爽やか。

愚痴なんか、基本聞いても面白くともなんともなく、むしろ負の気分が伝染する……酒場のお姉さんに、カウンセラー。愚痴を聞いて、金をとる商売があることを、ちゃんと分かってほしいものです。

スマートな愚痴。

大人の条件ですね。
怪談と距離感
元々怪談好き。
怪異収集家、という肩書を持つ先生の元にいる塾生ですので、今までに課題として怪談はいくつか書いています。

そして、今課題に出しているのはホラー。
ですけど、課題とは別に、思いついたので書いてみた……そんな話がショートショートで5つほど溜まりまして。
本当なら、課題に出すのは一回一本と決まっていますが、授業の時間が少々あったので、いつもの課題と合わせて、ちょっと出して見て頂く。

犬の散歩道にいつも「亡霊」に出くわす人の話。
殺人事件の捜査中に、被害者の邪魔がいつも入る刑事の嘆き。
等など。

一話、原稿用紙一枚分どころか半分ほどの話なので、先生のチェックは約五分。そして審判が下る。

「自分、今まで俺のイベント何回見に来た?」
「ダークナイトはほぼ皆勤です。№1から見てますよ」
「そんだけ見て、怪談のキモが分からんか? 無駄やったな」
「何も考えずに楽しむのが、観客としての礼儀というものです」

 とりあえず、減らず口。コレ、数年通った塾生の特権。
 さあ、中山先生に減らず口を叩きたいクリエイター志望の方は、ぜひ作劇塾へ!
 大丈夫です、先生は塾生に向かってお怒りにはなりません。
 ロジックでねじ伏せるだけです。

「ええか、とりあえず、この話には読み手を怖がらせるキモが無い。出てくる目撃者は誰も怪異を怖がってないやん。幽霊も出てくるだけ、目撃者もただ見ているだけ、それだけやな」

いるだけで怖い。襲いかかってくる西洋のホラーとは違う、それが日本の怪談だと仰っていたではないですか。

「距離感や、距離感。徐々に近づいてくる異形のモノ。例えば、この犬の散歩の話にしたってやな、最初は普通に歩いている、その先に人がいる。徐々に距離が縮まる。そのうちに、おや、何かが違うと違和感がある。そうしている内に徐々に接近。だんだんとその違和感が明らかになる……そして何が起きる? という感じやね。この話には、それがない。怪談とは、日常がある日、突然壊れるのがキモ」

ぽん、と私は手を打ってみる。
そう、当事者と怪異、距離があってはならない。
逃げられない距離、それが怖い。

飲み会でそれを話題に出したところ、私と同じイニシャルの塾生のKさんが「怖さの距離感が分からない貴方のために」と、参考になる映画を貸して下さいました。
ありがとう、Kさん。
これで次は怖いものが書けるわ!

つうか、距離感。他人に対して、無さ過ぎるとストーカー、あり過ぎて無関心。使いようによってはホラーの題材になるな。