陶磁器と文鳥と作劇塾
作劇塾の塾生です。塾での日々、及びアンティークや陶磁器類、そして文鳥の雑文
塾のこっち側
面白い話をしろ、と先生は仰る。

「作家さんはな、人前で話すのが苦手という方も多いけど、実際に話をしたらすごく面白い。話す能力や編集する力は、読解力と書く能力と連動しているんやね」

語りのリズムと、書く、編集するのリズムは同じらしい。

一時的な言語障害を起こした監督が、その当時撮った映画が「アカン」かった理由はそこであろうというエピソードも交え、

「と、いう訳で落語と映画を観るのは大事。作家さんで落語大好きな人は多い。立川談志師匠も、若い奴が落語下手なのは映画を観ないからだ、と書かれている」

……やばい。
私の話は『崩壊している』という。
特に映画の筋を語らせれば、隣に並ぶものはいないレベルらしい。
例えば、先日の飲み会で語った『タワーリングインフェルノ』
摩天楼にそびえたつ超高層ビルの、大火災を描いたパニック映画の名作ですね。スティーブ・マックィーンとポール・ニューマン、フェイ・ダナウェイにウィリアム・ホールデンと、豪華な俳優陣です。

「えー、サンフランシスコで138階の超高層ビルが建ちましてね。落成式が行われるんですが、81階で配電盤の故障が原因で火災が発生するんですよ。
えらいこっちゃとばかりに、ビルの設計士ポール・ニューマンはノコノコやってきて、オーナーにパーティ中止を求めるんだけど、オーナー聞く耳持たず。
80階の火災だから、138階までは炎は来ないだろうとオーナーはタカくくっているんですが、あら大変。そうしているうちに火災は広がり、ついには消防士スティーブ・マックイーン出動。こんなクソ高いビル作りやがってと怒りながら、マックィーンは消火作業に精出すのです」
「何がポール・ニューマンがノコノコじゃあああ!」
先生お怒り。

キャラクターのカッコよさや画面の緊迫感が完全焼失だと、非難轟々。
いや、話の筋は間違っていませんが。
「これから入ってくる人に、入塾試験を設けませんか? 映画の筋を説明させて、能力を推し量るんです」
ヤな提案するSF担当。

ですが、まだそんなイヤな試験の計画は実行されていません。
入るなら今の内です。

ところで、さすがにちょっぴり反省した私。映画の魅力を語り、それを観たいと人に思わせるようと、ダンナを練習台にしてみたのですが。

「1930年代、アメリカは大不況でね。職を求めて人たちは鉄道で放浪するんだけど、金がないから無賃乗車なわけよ。それを許すまじと、無賃乗車犯を見つけたら金づちで惨殺する車掌。その車掌に無賃乗車の勝負を挑むのが、伝説の無賃乗車犯『北国の帝王』そして、その勝負に帝王の座を狙う若者が割り込んで、彼らの勝負のその先は? というお話。凄いぞ、ラストは鉄道車両の上で、車掌と無賃乗車犯、斧と材木で一騎打ち!どうかね、一緒に観ない?」
「いや、ええわ」
……ちっ駄目か。

今のところ『ミスト』『現金に手を出すな』『アマデウス』『監獄警察』もこの調子で連敗中。


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コメント
コメント
わかった。
あなた、社会人として、会社勤め人として、優秀でしょう。
要点を簡潔にまとめて相手に伝える能力が高い。
対して、中山さんが求めている「物書き」としての能力は、
ゴテゴテとデコレーションして、聞き手に「伝えたとおりに」イメージさせられる能力なのではありませんか?
目が青く涼しげな、とか。
鼻はすっきりとしているが高く、とか。
社会人としてはジャマもの扱いされるたぐいの「余計な描写」を、文章には盛り付けろ!
とおっしゃりたいのでは?
しかも、多少はわざと受け取り違いをさせてもいいから、
とにかく「相手が興味を持つように話を盛って」
書くようにしろ。
っておっしゃりたいのでは?

あのね。
菊池秀行さんをご存じですか?
外谷さんの名前出てた気がしたからご存じかもしれませんね。
人気があって多作な、エロとバイオレンスの娯楽小説の大家。
菊池さんの代表作に、吸血鬼ハンターDシリーズがあるのですが、
このD。
一度終わったにもかかわらず、再び新作が出されたというとんでもない人気作。
アニメ化も、私の知る限り2回もやってます。
イラストは、表紙も天野喜孝さん。
めっちゃカッコイイDを描かれてます。
特に初期がおススメ。
そのD。
なぜ人気がでたのか?
クール。
ダンディズム。
不屈の超人。
そしてなにより美形!
天野さんの酷薄で物憂げなDを、小説を読みながらイメージで動かす。
ああ!美しい!
そんなDを、ファンが表現したそうですが、
美影身!

黒ずくめ。
血の気のない紙よりも真っ白な肌。
ひきしまった身体。
Dの特徴を、たった3文字で言い表してしまうとは!
菊池さんも気に入られたらしく、何度も美影身と書かれています。

このように、読者をしてとろけさせるような、イメージを送り込む装飾言語を、菊池さんは書かれています。
それを受けての「美影身」という造語の誕生です。
こういうファンがつくほどの装飾表現力を身につけろと中山さんはおっしゃりたいような気がします。
魅力的な主人公を、盛りに盛った表現で書き留める。
普段着でなく、ウエディングドレスを着せたような文章。
読者がイメージしやすい描写。
いけ!打倒Dを目指して書き込むのだぁぁぁぁ!←他人事(^ω^)


2016/10/23(日) 08:03:27 | URL | #- [ 編集 ]
面白い話があるのではなく、面白くする
ごきげんようです。

なるほど、そう言われればそうですね。先生の仰るとうりだと思います。

作家と言われる人たちはいわゆる面白い話を探してるんじゃなくて、目にしたこと耳にしたことを、それが屁みたいなことでも膨らませて面白い話にする術に長けているのかもしれませんね。

人や物事をよく観察する癖が身についている。というか、ほとんど生理的、本能的にそうなのかもしれないですね。

「タワーリングインフェルノ」かぁ・・・僕ならこう話します。
「サンフランシスコで138階建ての高層ビルの落成式があるんですがパーティの最中、手抜き工事による配電盤の故障で火事になりますんや。

火事に気が付いたビルの設計技師のポールニューマンがオーナーにパーティ中止を忠告するけどオーナーは81階の火事はここまで来えへんと馬耳東風。それが大火事になりますねん。

さて現場へ消防隊長のスティーブマックイーンが車で来るんですが、この時代のハリウッド映画はスターの見せ方がメチャ上手いんですわ。

ちょっとしたことやけど、ここでマックさん半袖のワイシャツ着てますねん。たったそれだけの演出でこの隊長がごっつい頼もしく見えるんですわ。

もう1つ。ミュージカルの神様、フレッドアステアがセコイ詐欺師出てますねんけど、この人の見せ方も上手でっせ。パーティの準備を部屋でしてる時にカメラがワンカットだけロングで撮ってますねん。

このダンスの神様、タップの神様はロングで撮った時が一番カッコええんやとちゃんとわかってる。そのワンカットで彼へのリスペクトもちゃんと出てる。この映画はそんな楽しみもおまっせ」・・・・

いや~~見た映画の話をするって難しいですねぇ・・・・
2016/10/24(月) 13:59:49 | URL | ひろみつ #AH9/n9xo [ 編集 ]
Re: 面白い話があるのではなく、面白くする
ひろみつ様

はい、面白おかしく話をする、という芸が必要だと。そういえば、内容は同じでも芸人さんと一般人は全然面白さが違う。
テンポ? 表現? あれはすごい。

それにしても、タワーリングインフェルノを大阪弁で語れば違う味が出てくる。
次は第三の男を大阪弁で言ってみようか……と思いました。
それにしても、アステアのカメラの撮り方までは気が付かなんだ……何故踊らない!と思っていた自分が悲しいです。
2016/10/25(火) 01:36:14 | URL | みほ #- [ 編集 ]
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