陶磁器と文鳥と作劇塾
作劇塾の塾生です。塾での日々、及びアンティークや陶磁器類、そして文鳥の雑文
大人と読書
カトリーヌ・アルレーの『目には目を』

電車の中のお楽しみとして、1日数ページずつ読みふけり、10日間ほどで読了。
ああ、若き日の私なら、とても「電車の中だけ」では終わらせられない面白さ。
駅に着いたらページを閉じるなんて、成長したのね私。

5回ほど到着に気が付かず、危うく電車を降り損ねるところだったけどさ。

破産直前の青年実業家夫妻が、年が離れた友人の男と、その姉を自邸に招待するところから始まります。
青年実業家は、友人の男が5億フランという大金を掴むことを知っていて、友人を経営に引きずり込むことで、金の算段をつけようとしている。
そして、我儘と無邪気で出来上がった美しい妻は、破産寸前の夫(ハンサム)に見切りをつけ、金持ち予定の友人(見栄え悪し)に乗り換えようと考えている。
質素で地味な性格の友人の姉(女医)は、青年実業家夫婦のわざとらしい歓待に感謝しつつも違和感を持ち、実業家の妻に惚れてしまったらしい不器用な弟を行く末を心配。

4人には思惑がそれぞれあって、運命の糸となって絡み合い、殺人と復讐、それぞれの破局の道へ進む……というお話


話は、4人の独白のスタイルで、ストーリーが展開していきます。
4人から3人、そして2人と登場人物が減っていくこのサスペンス!
そして肌理の細かな心理描写と精密な風景。
小説ならではの面白さ。映像化すると、面白さは4割は減るな。

一番最後に破滅を迎える、我儘な妻の心理描写なんて、読んでて『きゃああ』です。
そうそう、怖い性格ってこういう人。
綿密に物事を考えないのよ。
凄く単純で、想像力の画素が荒いというのか。
他人は自分のためにあると思い込んでいるところとか。

趣味には『飽きる』ということがありまして、モノによっては「上達中途半端」で終わってしまい、押し入れの奥深くに入れる以外にない道具だとか、ハウツー本が己をあざ笑う……という悲劇もありますが、読書ってそれがないのが素晴らしい。

そもそも、飽きるという事がないです。
本好きは一生涯本が好き。

しかも、10代の頃に読んだ本をもう一度読み返すと、当時なら知ることのなかった奥深さとか、発見があるのです。
ゲームは飽きるが、本は飽きない。

さて、カトリーヌ・アルレーは、ヒロインの性格描写の残酷さで有名です。
「わらの女」など、悪女モノを書かせたら一級。

高校生の頃に読んだときは、ストーリーを「ああ面白い」で済んでいたのですが、大人になると、登場人物の心情と、己と重ねる部分が出てくるのです。

自分のこと以外、目に入っていない。相手に対する思いやりナシ
あ……私、この我儘自己中サイコパスなヒロインと、似たこと言われて糾弾されたな。離婚危機のこの夏

まあいいか。確かに自分の事しか考えていないけど、殺してないし。

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