陶磁器と文鳥と作劇塾
作劇塾の塾生です。塾での日々、及びアンティークや陶磁器類、そして文鳥の雑文
最終章:世の中ホントに冷たい

金曜日、塾に行ったら先生に睨まれる。


「ブログ読んだで。賞取ったならとにかく、落選したから亭主へ向かって宝石買えって何やねん」


ほほほ、美しいものを見て心を落ち着かせるのです。

宝石の輝きによって、女は慰められるのよ。あ、別にダイヤモンド以外でも良いですよ。

ルビーならビジョン・ブラッドね。サファイアはコーンフラワーブルーでよろしく。

「俺が亭主ならマジ切れする」

それならちっとは慰めをと、文句ぶうぶうの私に、先生は口を曲げる。

「あのなあ、クソミソカスのボロカス言われて、発奮するもんやろか」

それどころじゃないですよ。クソミソカスのボロカスのオタンコナスですよ。


「世の作家志望は、独りで書いて、落ちても独りで落ち込むしかないんやぞ。ボロカス言ってくれる仲間がいることを、有難いと思わんかい」

と、いうわけなのか……金曜の夜から土曜の明け方にかけての、恒例の飲み会は

『祝!大阪てのひら怪談大賞、春の大感謝祭!』

『ダブル落選フェア!2017」

……うーむ。


なんて週末も過ぎて、やって来ました月曜日の今日。

職場のキャビネットで書類整理中、部長に声をかけられた私。

珍しいですねえ、いつもは商談だのご出張だのと、あまり課の中にいらっしゃいませんが。

そういえば、明日も東京へご出張でしたね。

「いやさ、課長と主任から話を聞いてね」

怪談の賞は残念だったねえと部長。

「その話を聞こうと思ってね」

おや、あのお二人から?

……この私を慰めてやってくれって意味か? それともアイツを何とかしろという苦情か?

そんなことを考えましたが、常日頃『公私問わず、何かあれば相談しなさい。話を聞くから』

そう仰っている部長です。部下の生活管理。管理職はこうでなくては。


最初の二人、私的感情入れまくりの主任に、慰め方が微妙な課長でしたが、この部長なら『残念賞』に東京出張のお土産くらいは買ってきてくれそう。

そうなったら、うさぎやのどら焼きをよろしく。

……という思惑の中で、しくしくと話す私。頷く部長。


「ふーん、そういえば、自分怪談好きだもんねぇ、夜中から朝までやってる怪談のイベントがあるって本当? そこへ行って、本も買っているんでしょ?」

はい、その通り。

イベント内容を詳しく聞きたがる部長。

「でもボク、怖くて聞けないなあ」


会話は続く。

「映画もホラー大好きらしいじゃん。血がドバドバ出るゾンビとか、13日の金曜日とかよく見ているんでしょ? あんなの観て、晩によく寝られるねえ。怖くないの? そんなに好きだから、怪談書いて、投稿までしたのか。すごいねえ」

そうなんですよと頷く私。

成程ねえと無邪気に感心する部長。


「そんなに好きでも、やっぱり落選するんだねえ」

……ちょっと、ぶちょう。


「好きなだけじゃ、ダメなのかなあ」

……おい、おっさん。心は完全漂白。


部長は笑顔で席へ戻る。

もしかして私のところに来た目的は『部下の生活管理』じゃなくて『単なる好奇心』なのか。おいコラ部長。


結局、慰めは得られなかった私。でも、悟りは開いたわ。

世の中ホントに冷たい。

まあ、そんなもんか。














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