陶磁器と文鳥と作劇塾
作劇塾の塾生です。塾での日々、及びアンティークや陶磁器類、そして文鳥の雑文
山中にて

日曜日の六甲山にて。

関西圏に住んでいる方ならよくご存じの山。

地元小学生の遠足地でもあるし、トレッキング初心者には最適と思っていたんですが。


……はて、何だって私は崖をよじ登っているのか?

芦屋川からのコースです。

大岩をよじ登り、ある時は急斜面を横歩き、そして木々の枝をかいくぐりながら、斜面を登る……

あのーここってホントに六甲の登山道?

道案内板も出ていませんけど。


「……すいませーん、そこのあなた、もしかして初心者でしょ?」

沢の大岩をよじ登っている私に、声をかけて来てくれたナイスミドルの男性。

そうですううと返事する私。

「そこを超えるにはね、岩を登るんじゃなくて、すぐ右手の崖見てください。ロープ垂れ下がっているでしょ? そのロープを掴んで、足場を確保してから崖を移動するんですよ」

……地上3メートル弱。下に流れる沢の水と、でこぼこの石を見たらいけません。


「あのですねえ、ここ、中級者から上級者コースですよ」

ナイスミドル、どうやら私の登山ルックで初心者と見抜いた模様。

だって、ズボンもリュックも登山用じゃないし。

「歩き方も大股だったし、すぐ疲れちゃいますよ。小股で登って下さい」

おお、歩き方でも見抜かれたか。

その後、彼は約5、10分ばかり私に山歩きのコツや、つぎの休憩ポイントまでの道、そして道に迷わないコツと今後の注意事項を教えて下さいました。


「六甲って滅多に滑落事故は聞かないけど、それでもやっぱり危険はあるし、遭難もレスキューのヘリが出たこともあります。気を付けてください」


ありがとうございますと私。世の中冷たいのは、私の生活圏だけね。

圏外には良い人がいるものだわ。


「まーあなた、崖よじ登っていたの見てると、体力ありそうだから大丈夫かな」


私に対して微妙な言葉ではありますが、一応は安堵したらしく、彼はさくさくと急斜面を登って行かれました。


しかし、山中を歩きながら思う私。

山の中は、やはり空気が独特です。何もないけど、気配が濃厚といいましょうか。

街中一人で歩いていると、群衆の中に自分の個性が埋没する感覚が起きるものですが、山の中は違いますね。

山の中のあらゆる生命の中に、自分という生命が埋没している感覚です。

猪も蛇も小鳥も、妖怪も幽霊も同じ次元に地続きで存在していても、ここなら当然のような気がする。

安曇潤平さんの怪談に描かれる、山の気配を肌で感じつつ、歩いていた私ですが。


……有馬へと続く六甲山頂を目指していたら、行先を間違えて違う山頂を制覇し、もう一度山道を下ってから六甲山頂に登る羽目となりまして。


そして月曜日の朝。

始業時間の職場にて。

「おや、樹海から帰ってこれたんだ。良かったね」


……誰だ、間違った私の休日情報を流した奴は。











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