陶磁器と文鳥と作劇塾
作劇塾の塾生です。塾での日々、及びアンティークや陶磁器類、そして文鳥の雑文
毒書日記

たまに読みたくなるのが『底辺小説』


爽やかエンタメ性善説に基づいた人間賛歌の訓話てんこ盛りハッピーエンドとは、また違う、心の押し入れの中にこもって、生ぬるい己の闇をなぞる楽しみです。


そういう事で、車谷長吉を読んでみた……私小説の色合いが濃い『赤目四十八瀧心中未遂』

舞台が尼崎というのもあるんですけどね、主人公が住む場所が何と、ご近所です。出屋敷です。

まだ30代と若いうちから厭世観に囚われて、職を捨て、人間関係を捨て、主人公が流れ着いたのは尼崎。

その出屋敷のアパートで、焼き鳥やもつ焼きの肉を串に刺し続ける隠遁生活の日々を送るのですが、その安アパートで主人公が見えてくるものは、自分以外の住人たちの日常からにじみ出る閉塞感と腐臭。


やだなあ、重いなあ。

平山夢明さんの『底辺小説』も腐ったドブを見ているようですが、そのドブ川には『あひるちゃん』が浮かんでいるブラックユーモアがある。


しかし、この小説は人生という名のどぶ川というより、濁った池の中を覗いているよう。

心中、とタイトルにあるように、主人公に近づくのは同じアパートの美女なんですが、これもまた『目を伏せる時にだけ、暗いものが顔に現れる』いいもの背負ってますねえ。

じっとりと重く、湿気がまとわりつくような、それでいて虚無的な空気が漂います。

悲惨ではない、でも幸せなんか出て来ない。


読んだ後で、部屋の中の明度が落ちた気がしたよ……そして、アマゾンでこの人の違う本を注文してしまった。

『底辺小説』は、たまに中毒性が高いです。

読んだ後、人格が変わらなければいいが。


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