陶磁器と文鳥と作劇塾
作劇塾の塾生です。塾での日々、及びアンティークや陶磁器類、そして文鳥の雑文
クセになる暗さ

『ベン・ハー上映会』によって塾の課題も先に伸び、今年最初の『合評』は何と二月から。

したがって、最近ほとんど小説を書いていない珍しい事態。

完全趣味小説も行き詰ったことだし、読む観るに専念するかと、いつもならあまり手に取らないジャンルに手を伸ばし、車谷長吉の真っ暗私小説だの、ロバート・デニーロの『タクシードライバー』だのに触れてみたのですが。


あああ、暗い。


しかし、暗さにもクセになるものと、そうでないものがありまして。


「まだ観たことが無いだと!!! それでもキサマ、モノカキ志望か」と先生の声を裏返らせてしまいました。有名過ぎて今更何もいえない作品『タクシードライバー』

音楽もどこかで聞いたことがありますねぇ。

ベトナム戦争帰りの青年が、不眠症によってタクシードライバーとなり、車でニューヨークの街を走り、女性と出会い、恋をして失恋。そして12歳の娼婦と出会うことで、徐々に狂い、そして再生する話ですが、陰鬱というより空虚。主人公は「何もない」というエネルギーを持て余している感じ。

猥雑で澱んだニューヨークの街並みと、空虚な主人公の対比がとっても素敵。

いいねえ、失恋して徐々に狂っていくロバート・デニーロ。

彼女と仲直りしようと送り、つき返された花々のミイラが部屋を埋めている。

端々に見受けられる、主人公の歪みと閉塞感。


デニーロが殺戮した売春宿の男たちの血糊を、死骸を、這って舐めるように映し出すカメラ。

この映像のエグさだけで、ご飯三杯はいける。


さて、車谷長吉。


自尊心、虚栄心、劣等感が渦巻く人間の陰鬱絵巻。

読んでいて、救済も光も無いです。ただ淡々と、この作家と夜の道を歩いている気分になる。

後味が良いとはとても言えませんが、不思議に中毒性があるのは、どこか透明感があるからか。


単に悲惨、エグイ、後味悪いのではない極上の『暗さ』は、どろりとした生ぬるい沼の中に浸かっているような、一種の心地よさがある。


当分この「真っ暗気分」に浸っていたかったのですが、次は合評だ。

黒く染まっている場合じゃない。

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コメント
コメント
車谷長吉
私も車谷長吉は好き。彼の奥方が書いた『夫・車谷長吉』、小説ではありませんが、秀逸な面白さでした。今度貸すわ!
2018/02/02(金) 17:38:32 | URL | あんず #RQ.tHLaA [ 編集 ]
Re: 車谷長吉
つくづく、貴女と好きなジャンルが似ている事には驚愕。
彼の奥方は詩人だったっけ? 長吉の小説の中に出る彼女がモデルの『妻』には興味あるわ。
すごく興味あり。
車谷についてぜひ語ろう!楽しみに待っているわ!
2018/02/05(月) 22:12:54 | URL | みほ #- [ 編集 ]
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