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陶磁器と文鳥と作劇塾
作劇塾の塾生です。塾での日々、及びアンティークや陶磁器類、そして文鳥の雑文
ようやく戦争終結

前回までのお話:と、ある高級アンプ。元の主人(持ち主)が新製品に買い替えたせいで、主人を変える羽目となる。

運命の皮肉か、新しい主人は電気製品の知識階級においては最下層。この家にて、危うくスピーカーと一緒にオブジェ状態になるところだったが、ジョー●ンの出張工事によって危機を救われる。


……て、わけでようやくアンプとスピーカーがつながりました。ああ良かった。

つなげた配線は間違っていなかったのよ。配線があともう一本必要だったらしい。よく分からないけど。

で、つながったアンプでヴィスコンティの『ベニスに死す』を観る。

舞台はベニス。石造りの街の間に流れる川。

全編に流れるマーラーの曲。

ブルジョアたちが集まるホテル。白い壁の部屋に、緑と花が散らばる庭園と、籐の椅子。

高貴な喧騒の中に身を置いた音楽家は、ひたすら美しい少年を目で追いかける……。


ヴィスコンティを格調低く語らせれば天下一品のワタシ。

これは……ひたすら高尚、かつ耽美なストーカー映画。映画の視点を『美少年見ている老音楽家』という第三者的視線ではなく『老音楽家』と同化させてみると……あらら、老音楽家アッシェンバッハという乙女になった気分。

時折、美少年タージオと目が合うんですが、彼はその時、口元にほの淡い笑みを一瞬浮かべる。

おお、これは胸が締め付けられるなあ。

たまたま目が合った、見知らぬ相手に対する施しに似た笑みであってもさ。

相手を、見ることしか出来ない、手を伸ばせない。苦悩交じりの恋の幸福です。セリフが少ないので、表情で読み取らせる名優、ダーク・ボガードの演技です。

床屋で髪の毛を整え、病で悪い顔色を化粧で映え良くしてもらっても、結局美少年タージオには最後まで話しかけられなかった、接点が持てなかったアッシェンバッハですが。

他の少年との喧嘩に躍動するタージオの姿、海に入って太陽の光に包まれるタージオを観賞しながら、息を引き取ることになる。

ふむ、相手に対する耽美と思い込みだけを胸にして死ねるなんて、恋するおっさん乙女にとって、理想的な死に方ね。


ところで、私の思い込みの中には『美形はトイレに行かない』というものがあるのですが。

この『恋するおっさん乙女』アッシェンバッハならば、私の言い分に賛同してくれそうだ。





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