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陶磁器と文鳥と作劇塾
作劇塾の塾生です。塾での日々、及びアンティークや陶磁器類、そして文鳥の雑文
何度も読み返す本

本棚、テーブル、床の上、机と本を置いている場所は数か所。

場所によって本の重要度や位置が異なっています。

一番重要度が高いのは『机の上に常に置いてある本』これは資料だとかそういう関係はないけれど、何かの拍子にパラパラめくる本。

聖書とか哲学とか、そういう重厚な読み物ではない文字の精神安定剤、目のおやつ、軽い息抜き。


平山夢明氏の『ダイナー』がそれでして。

思慮の浅いヒロインが、小金欲しさに携帯の闇サイトに手を出した結果、強盗の手助けをする羽目になって凄惨な拷問、そして自分を埋める穴を掘らされているところから話はスタート。

いよいよ殺される際の命乞いに「料理が得意です!」と口走ったことから、殺し屋たちが集まるダイナー(食堂)のウェイトレスとして売り飛ばされるのです。

さて、ここで料理人をする男もプロの殺し屋。客も殺し屋。

客はお前を気に入らなければ殺すだろう。でも気に入られても殺されるだろう……今まで何人ものウェイトレスがそうやって殺されてきた食堂。

そんなところで働く彼女は、いつまで生きられるか? そんなお話。


淡々とした残酷描写、殺人風景。滑稽さと狂気を持つお客さん、そして冷酷な殺し屋で最高の料理人のマスター。

そして、舞台が食堂なので料理の描写が多いのですが……これがスゴイ。

人間解体、拷問、殺人と猟奇が渦巻くページの中に、正に匂いたつような料理の説明が入るのです。

主にハンバーガーがメイン。そのハンバーガーのパンズや肉、野菜にソースの瑞々しさ!

正にごった煮。

料理、猟奇、ユーモア、アクション、全てのジャンルがここに終結!

そして読後感の爽快さよ。(これが肝心)


読み終わった後でも、精神安定剤、気休めに手元に置いてたまにパラパラめくる本。 

私にとっては、そういう作品が名作。

そんな話を書きたいものです。



駄文更新:新入職員の思い出

社会人デビューは金融機関でして。

何しろ、新入職員ですから、全く知識もない、右も左も地上も地下も分からない状態の頃の思い出。

ある夏の日、先輩に仕事を渡される。

「この預金口座の流れを●年からさかのぼって、明細を調べてちょうだいよ」


当時はパソコンデータとか、そういうものは存在しませんで、口座の動きはマイクロフィルムで記録されていました。

投影機を使って対象の口座取引を探し、その口座の動いている明細部分をコピーしてから、必要箇所だけをハサミで切り取って、糊付けして時系列の表にするという地味な作業です。

ついでに言えば、投影機をじっと見ていたら、車酔いみたいな気分になります。

口座の数字を目で追って探すのにも苦労するし、当然下っ端の仕事です。

しかも、部屋は暑い。


あんまり残高も無いし、公共料金とかクレジットとか、頻繁に動く口座でもない。

そんな口座なのに、随分昔にさかのぼって調べるものだなと思う。

朝から昼まで、ざっと3時間くらいかかった覚えがあります。

さて、そのデータは頼んできた先輩でも、直属の上司でもなく、支店のお偉いさんの手に渡されまして。

「……アレ、何に使うんですか?」

妙に不穏なものを感じて聞いてみた私。

穏やかに答える先輩。

「殺人事件の被害者の口座だって」

……あれ、警察の捜査資料になるのか。


シュールな夏の思い出です。












洋画と怪談

『過去、銀行強盗に虐殺された行員たちの怨念漂う金庫室に、数十年の時を経て再び押し入る銀行強盗! さあ、彼らの運命や如何に? 惨劇はまた繰り返される!』

てな感じの洋画ホラーを観ておりました。

おお、銀行の金庫室を破るのか。同業者として見ておかねば(注:強盗が同業ではない)


ファーストシーンは、17:00前の閉店時間前からスタート。

給湯室でコーヒーを入れる男性行員の姿から始まる。

営業室には、仕事の応募で支店長と面接を受ける若い女性、不渡りの小切手を掴まされて怒り狂う女性客、そして外から入ってきた警備員二人。


突然、強盗として豹変する客たち。

銀行強盗は姉妹と弟、そして友人?の4人。

どうやら弟が下手を打ち、借金をこさえたらしい。金を手に入れなければ、弟の身が危ないと銀行強盗に出たお姉さんたち。銀行員にとっては迷惑な姉弟愛だな。


ハイ、行員たちは警察に通報する間もなく、人質に取られて囚われの身に。

強盗達は金を奪おうとするんですが、あるのはたった7万ドル。弟を救う金額にこれでは目標額に届かない。

愕然とする姉妹強盗に、行員の一人が交渉をする。

「私は業務部長だ。地下の金庫を開けるパスワードもしっている。そこに金がある。もしも人質に暴力を振るわないのなら、協力してやる」


さて、こうやって強盗達は怨念漂う地下金庫へ……


洋画って、やっぱり『怪談』ではなくてホラーになるのかな。

強盗達を襲う行員たちの幽霊……ほとんどゾンビのような人々を見つつ思う。

カメラ映像に消えたり写ったりする幽霊たちはまあ、世界共通ですが……テンポの取り方や画像の色彩を見ていると、和風ホラーのくすんだ色彩、独特なスローモーなテンポはほとんどない。

それに、やっぱり『幽霊』という存在の、どこが怖いのかという一点に人種の違いを見ますなあ。


ラスト・7人いたはずの人質は、救出されたら6人しかいなかった。

ちょっと切ないラストです。

そうか、そう言う事か……まだ彼の時間は止まったままなんだな……。


しかし、洋画ホラーって絵的にヤバいものの参考になる。


それにしても、銀行強盗×ホラーとはなかなかいいモノを見た。

次は総務×ホラーを誰か頼みます。

……自分で書けって?








ホラーにも色々ある

阿刀田高さんの小説を再読中。


短編の多い作家さんです。高校生から好きだったのですが、今になって読み直してみますと、作風がかなり独特でして、今でいう『ちょっと不思議』とかそんなではなく『奇妙な味』『ブラック』です。

ロアルト・ダールという外国の作家さんの影響を受けている、とエッセイで読んだことがあります。

成程。


この方の小説は、主人公が過去を振り返り、その情景や心理描写が描かれます。

その主人公の意識が、過去の旅から現在に戻った時に、過去に紐づいた真相や決断が、今の自分の前に現れたり差し出されたり、そんな話の構成が結構多い。

主人公にとって、その当時は見えなかった事や分からなかった事が、現在というフィルターを通したことで現れる過去の落とし穴、どんでん返し的面白さです。

ホラーの短編も多いのですが、小池真理子さんの作品の真逆の味わい。

彼女のホラーは、日常の延長線上にある異界や、死者を描くものが多いですが、阿刀田さんはどんでん返し的な怖さが多い。

『ナポレオン狂』なんて怖いですよ。ナポレオンの遺品を集めているコレクターの元に、己をナポレオンの生れ変りと信じているオトコ。さて、この両者が顔を合わせた結果は?


本当、ホラーってジャンルは面白いわとしみじみ。

文体や描写の運び、構成でここまで味わいが違ってくるは、ホラーじゃないかと思う今日この頃。

でも、ホラーってどんな形であれ、やっぱり強烈に『怖っ』な部分が無いとオモシロくないな。


次の課題作を前にして、つくづく思う今日この頃です。








ふて腐れて寝る

本日はダークナイト。


予約をしたはずだった。ネットで予約をし、返信メールを待っても来ない。

おかしいなあと二日後に調べたら、予約は完了しておらず、しかももう満席。


何としてイベントに潜り込もうと、賄賂以外のあらゆる汚い手と甘言を弄したけれど失敗。

『塾とオフィスイチロウは別!』らしい。

ああ、商売道徳には裂け目が無い。

仕方が無いので、ゴーストボトル持ち主SF担当にチケットを譲れと迫り、広島在住広報担当にIPレコーダーをイベントに持ち込んでくれとお願いしたら断られた。

やーねえ、ワタシよりも規律と道徳心が大事なのか……ってそりゃそうだ。


ああ、ゴーストボトル開封にあたって、せっかく怪異に出会えると思ったのに。


怪異のチャンスは、もう怪談キャンプにかけるしかない。


口惜しいので、イベント開始時間を前にもう寝ます。